紅茶は淹れ方にうるさい。英国ならではの、習慣がある、技術がある、作法がある。紅茶の仕事をしている時に、その辺の勉強を随分したが、まだ覚えているかな。
「お茶」というのは、人と人の話をつなげていくためのいちばん身近な飲み物だから、心をこめて供さなければならない。だから、中国茶も日本の煎茶や抹茶も、その淹れ方にはその国らしい文化があらわれるのだろう。
とまぁ、格式を楽しむお茶もいいのだが、今日のテーマは懐かしいミルクティーだ。ワタシの記憶に強く刻まれたミルクティーの味は、小学校1~2年生の頃に友だちの家でごちそうになったものだ。
その家の食卓は当時としてはめずらしく、テーブルに椅子だった。その時なぜか、ホットケーキもあった。その家のお母さんはとてもキレイで、サンヨー婦人のようなスカート姿だった。この時のミルクティーがとてもおいしくて、家でもつくってもらったくらいだ。
でもしばらく、この味を忘れていた。喫茶店の、フレッシュがついてくるミルクティーに記憶を上書きされていたのだろう。紅茶にミルクを入れるものと思いこんでいた。英国のミルクティーは、ミルクと紅茶のどっちを先にカップに注ぐかとか、その理由にはそれぞれ蘊蓄があるのだが、懐かしのミルクティーはそんな味ではなかった。
しばらくして思い出した。あのミルクティーは、牛乳を温めて、その鍋に直接、リプトンの缶から紅茶の葉を入れていたのだ。ロイヤルミルクティーといい、チャイに近いのものだ。カップに注がれたミルクティーにすこし紅茶の茶葉が入っていたりした。あの時代のミルクティーはこれだ。ティーバッグなどない時代の豊かな味わい。
私は水を入れず、ミルクだけで濃いめにつくります。茶葉はアッサムがいいと思います。一人スプーン一杯の茶葉をミルクが沸き立つ前に入れ、紅茶の色が出てきたら火を消して、少しかき混ぜてつくります。
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